ネットワーク(学校法人 北里研究所 北里大学病院様)

新病院にアクセスポイント800台の無線LAN環境を構築
国内最大規模の無線LAN安定運用のポイントとは?

平成26年5月、新病院を開院した北里大学病院。最新の医療機器を整備し、特定機能病院として高度で先進的な医療を提供する目的で、地上14階、地下1階の新大学病院本館が建設された。院内には大規模な有線/無線ネットワークが構築され、サービスの核となる情報システムを支えている。ネットワーク全般の設計や導入、運用支援までを担う北里大学病院 事務部 情報処理課のご担当者様にお話を伺った。


有線LANネットワーク

新しい病院に入ると広々とした受付ロビーに設置された案内表モニター、自動再来受付機や自動精算機が目に飛び込んでくる。多数の来院患者の利便性を向上させているこれらの設備には全てLAN配線が施され、ネットワークを経由してシステムと接続されている。「インターネット、予備コンセント、無線LANのアクセスポイント(以下AP)用など、合わせて情報コンセント数は6,000にもなります。」とのことである。「エリアによって異なりますが病院内に設置されているスイッチ群も、これだけ広いと1フロアで4~6か所に分散して配備されています。」いかに大規模なネットワークであるかが容易に想像できる。多くの情報コンセントから集線した有線LANはアルカテル・ルーセント社のOmniSwitch6450を経由してコアネットワークから各サーバ群まで届く。もちろん冗長を考慮した設計で、さまざまな業務機器の通信を支えている。

アクセスポイントの設置検討

新病院の建設が進む中、無線ネットワーク設計も検討が開始された。課題となるのは建物が竣工前の状況でAPの設置位置をどう設計するかである。通常であれば電波の到達状況や干渉具合を専用ツールを用いて建物内部の無線サイトサーベイ調査を実施する。その結果に基づき配備するAP数や位置を決定するのだが、建物が完成してない状況では調査は実施できない。「膨大な数が想定される設置APをいかに適正に事前検討を進めていくべきかは重要でした。」全エリアで安定したサービス提供をおこなうためのAP数と設置位置の設計プランニングは無線LANの生命線といっても過言でない。そこでアクシオから提案したのが「OmniVistaRFプラン」。無線LAN環境のシミュレーションツールである。このツールでは建物の図面に基づくフロアの寸法情報、躯体の柱や壁の情報(コンクリートや透過しやすい壁など)、APの設置場所を替えたり、受信強度の選択を変更したりして、2.4GHzおよび5GHzの電波の到達距離をシミュレーションできる。設置位置に関してはすべてのフロアをシミュレーションし、RFマップ(電波マップ)によるAPの設置位置を確認していった。全階全フロアでの確認作業を着実に実施し、こうして800台ものAPの設置位置と数量とが具体的に決められた。またこのシミュレーションで利用されたマップは無線LANの監視ツール「OmniVista3600」(以下OV3600)に取り込むことができるのもメリット。運用においてもこのマップは役立つこととなる。実際の建物が完成し、全てのAP設置後に実施した無線サイトサーベイ調査でも「OmniVistaRFプラン」で算出したデータとよく近似した結果が得られた。あらためてこのツールでのシミュレーションの有効性が再検証された。

電波の利用シーン

院内で無線LANを利用するシーンは多くあり、安定稼働をするうえでルール作りも実施している。新病院では5GHz帯の周波数を医療情報系として、2.4GHz帯の周波数帯をインターネット系の利用として運用している。電波の特性として2.4GHzは干渉の影響が生じやすく、チャンネル数制限もあり、院内全域での利用には向いてない。エリアを限定して2.4GHzも利用するのだが、全エリアで共通して利用する周波数は5GHzの周波数で運用する方針としている。2.4GHzと5GHzの併用するエリアでも同時利用がサポートされているアルカテル・ルーセントのアクセスポイントOAW-AP105では問題ない。また800台のAPの設定はコントローラで一元管理される。電波の使い分けや用途ごとのSSIDや認証、暗号化、ロール(ルール設定)などの各種設定が可能である。

無線LANの利用シーン

情報処理課のご担当者に無線LANの活用シーンを伺った。「無線LANの一番の利用は院内の電子カルテへの接続です。無線LANを通じて各システムとも通信可能であり、有線と変わらない利用法を想定しています。それ以外にも会議では無線タブレットで資料を共有し、ペーパーレス化も行われています。特徴あるところでは病室における患者サービスとして“タブレット端末での商品発注”も無線LANを利用して実施しています。院内にある店舗と連携して患者自身が病室内から貸出のタブレット端末で商品を注文し、店舗から病室まで直接届けていただくサービスです。」お話を伺うと院内においては医師、看護師が各種業務に無線LAN経由で通信利用するシーンは多岐にわたり、これからもさまざまな用途での利用を検討中とのことである。

北里大学病院 新病院 無線LAN環境 概要図

日々の運用管理に必要不可欠なもの

開院して数か月経過した中、無線LANシステムに関する運用状況も伺った。「重大なトラブルは生じてません。ただし軽微な問題は発生します。予期しない電波干渉源が発生したり、外来波の影響等も生じます。やはり電波は目に見えないものなので対応には専門性が要求されます。」今回の無線LANシステムでは無線LAN専用の管理ツールOV3600を導入している。OV3600では時系列で無線LAN環境の状況を把握でき、APのチャンネル利用状況や端末認証の確認、電波の自動調整状況なども把握できる。ここでOV3600の特徴的な機能の1つをご紹介しよう。「病院内は広いので移動して使う無線LAN端末の把握も大切です。管理される1台1台の端末が今どこに存在しているも分かりますし、過去にさかのぼって位置を確認することも可能です。」無線LANを利用した“端末探し”も可能なのである。許可なく無線電波を発生する機器などをいち早く検知し、通知する機能もOV3600はサポートしている。障害が発生する前の予防策が大事であり、OV3600はまさに有効的に活用いただいている。「ただし、正直、ツールだけでは、原因が分からないこともたくさんあります。最終的には無線に詳しい人間の判断が必要不可欠です。」安定運用にはやはり確かな人間の目が必要なのである。

院内で活用される無線LAN

WLAN管理ツールOmniVista3600でのRFマップ

*本RFマップはイメージ画像です。実際のRFマップ画像ではありません。

お客様の声

「今回の整備計画では大変お世話になりました。施工・技術の方々には一歩先を想定して対応いただいたおかげで安心してお任せすることができました。開院から常駐で運用サポートをいただいているアクシオにはその技術力に大いに期待するところです。今後も良きパートナーとして末永くお付き合い頂きたいと思います。」情報処理課様より嬉しいお言葉をいただいた。

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ユーザプロフィール

名称
学校法人 北里研究所
北里大学病院
インタビュー取材
学校法人 北里研究所 北里大学病院
事務部 情報処理課
住所
神奈川県相模原市南区北里1-15-1
開院
2014年5月7日
許可病床数
1,033床
稼動病床数
1,021床(医科982床、治験39床)
新病院棟延床面積
92,776平方メートル
構造
鉄筋コンクリート造、免震構造
地下1階、地上14階 屋上ヘリポート
駐車場 855台(外来駐車場)

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