導入費用や保守運用コストを抑えながら職員の業務環境を大きく変えずにテレワーク環境を実現
多摩市役所様
導入の背景
数年前から職員の業務環境へのテレワーク導入の検討やリサーチを進めていたが、コロナ禍への対策と働き方改革の推進を目的に、テレワークに対応した新たな業務環境の整備を開始した。
選定理由
- 従来の業務環境と操作感が近い状態でテレワーク環境を使用することができ、システム環境変化による職員の負荷が少ない
- 他のシステムに比べ導入費用や保守運用コストを抑えられ、運用難易度も低い
コロナ禍対策や働き方改革を目的とした新たな業務環境の構築を目指す
東京都多摩地域の南部に位置し、多摩川と多摩丘陵に囲まれた豊かな自然を有する多摩市は、国内最大規模を誇る多摩ニュータウンの中核都市として発展してきました。
多摩市役所では、働き方改革に関連した取り組みの一環として、数年前から職員の業務環境へのテレワーク導入の検討やリサーチを進めてきました。そんな中、新型コロナウイルス感染拡大の問題が深刻化したことから、コロナ禍への対策と働き方改革の推進を目的に、2020年7月頃から、テレワークに対応した新たな業務環境の整備を開始しました。
テレワーク環境を準備するにあたり、多摩市役所では使用する端末は、紛失時等の情報漏洩対策を踏まえて、本体にデータを残さないシンクライアント端末の採用を検討していました。多摩市役所 企画政策部 情報政策課 主任の矢部 隆一 氏は、テレワーク用の端末の必要要件について、次のように語ります。
「端末については、職員が違和感を持つことなく業務が行えるよう、これまで使用していたFAT端末のスペックと同等であることを必要要件としました。また、テレワーク環境の早期運用開始を実現するには、OSはサーバOSではなくクライアントOSで動作する環境が望ましいと考えていました。」
職員のシステム環境変化による負荷が少なくコストも抑えられる
「リモートPCアレイ」を活用した提案を採用
多摩市役所では、テレワークに関する必要要件を踏まえて、パートナー各社にテレワークソリューションの提案を募りました。そして提示された案に対して、さまざまな角度から比較検討が行われました。
「テレワークソリューションの採用にあたっては、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式の仮想デスクトップのオンプレミス構築や、通信回線事業者の提供するデスクトップ仮想化サービス(DaaS:Desktop as a Service)、総務省より新たに提示された自治体情報システム強靭性向上モデルへ移行(Microsoft 365を導入するソリューション)など、それぞれの案を比較・検討していきました。」(矢部氏)
その中に「リモートPCアレイ」を活用したテレワークソリューションの提案がありました。 「リモートPCアレイ」は、仮想デスクトップ基盤に必要な、CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークスイッチ、マネジメントソフトウェアなどがオールインワンで提供されるため、既存の業務環境をほぼ変えることなく導入可能で、また端末OSも既存環境と同じくWindows 10 Proを使用することができます。
「他のシステムに比べ導入が容易であることと、これまでのFAT端末と操作感が近い状態でテレワーク用の端末を使用することができ、職員の皆さんのシステム環境変化による負荷が少なくて済むことなどが大きな評価ポイントになりました。」(矢部氏)
また、コストを抑えて導入することが可能なことも「リモートPCアレイ」の評価を高めました。多摩市役所 企画政策部 情報政策課の森 奈緒子 氏は次のように語ります。
「テレワーク環境の導入にあたってはコスト面も大きな課題でしたので、ハイパーバイザーが不要な『リモートPCアレイ』は、一般的なVDIの導入コストと比較して、コストを削減することが可能です。また稼働するコンポーネントが少ないので、保守運用コストも低減することができます。こうした導入や保守運用でのコストを抑えられることは、大きなメリットになりました。また、接続方法も既存のものを大きく変える必要がなかったことも評価ポイントになりました。」
今回のシステムを提案した株式会社アクシオ 営業本部 第1営業部2グループの五十嵐 淳 氏は、提案のポイントを次のように話します。
「自治体様の場合は、ネットワークの分離がポイントとなりますが、VDIはどうしてもコスト高となり、維持・管理の負荷もかかります。
その点『リモートPCアレイ』は、コスト面や運用負荷の面でもニーズに合致し、ご評価いただけたのではないかと考えております。」
こうした検討の結果、多摩市役所では「リモートPCアレイ」を活用したテレワークソリューションを採用することになりました。
200台の端末を使用した2プランのテレワーク環境を構築
まずはテレワーク環境に馴染むことを第一の目的として設定
多摩市役所では、利用環境が異なる2つのプランを設定し、それぞれ100台の端末を使用するテレワーク環境の構築を始めました。
「1つは管理職以上の職員が日常業務で使用する端末を全てテレワーク用の端末に移行する『プラン①』。もう1つは、係長以下一般職の職員が持ち出し用端末としてテレワーク用の端末を貸し出しする『プラン②』です。」(矢部氏)
導入にあたっては、端末と基盤(リモートPCアレイ)、その基盤から端末までの回線とその接続方法、といったフェーズに分けて順次構築作業を進めていきました。2020年11月から12月にかけて、必要となる機器やツールの調達を実施。次いで2021年1月からテレワーク環境の構築を開始し、同年5月頃からは検証を兼ねた試験運用を開始しました。そして、2021年7月から実際の業務でのテレワークの利用を開始しました。
構築を担当した、株式会社アクシオ 技術本部 ICT技術部2グループの石川 晃臣 氏は、
「短期間で200台の端末を設定する必要がありましたが、『リモートPCアレイ』は構成がシンプルですので設定も容易で、予定納期で完了することができました。」と話します。
こうしてテレワーク環境を導入した多摩市役所ですが、テレワークの導入は今回が初めてとなるため、両プランともまずはテレワークに馴染んでもらうことを第一の目的として設定しました。
「プラン①では、管理職の皆さんは庁舎内での移動も多く、自席を離れてテレワーク用の端末を使用する機会も多くあります。またプラン②においては、例えば窓口業務を中心とした部署では庁内でテレワーク用の端末を使用する機会は少ないのですが、在宅勤務などで徐々に利用する機会を増やしてテレワーク環境に慣れてもらっています。こうした試みが進むことで、会議などでもテレワーク用の端末を使用する機会が増え、結果としてペーパーレス化も少しずつではありますが進んでいます。」(矢部氏)
新たな環境の変化に「気付かなかった」ことは大きな成果
今後も「リモートPCアレイ」を活用して業務環境を整備
多摩市役所では、今回のテレワーク導入の目標のひとつに、現在の業務内容を変えることなくテレワーク環境に移行できることを挙げていましたが、そのためにはテレワークに対応したネットワーク環境の実現がポイントとなっていました。
「ネットワーク環境のポイントは、例えば、既存のシステムや機器とどのようにつなげていくのか、職員の皆さんの業務に支障を来すことなく有線から無線に移行することができるのか、そして職員の皆さんがテレワーク時にストレスを感じることなく端末を使用することができるのか、といったことです。このような課題をパートナーの皆さまと導入を進めていく中で、ひとつずつ解決していきました。新しい業務環境になったことに対して、ある職員からは『気付かなかった』と言われましたが、これは大きな成果だと感じています。」(森氏)
多摩市役所では、今回新たに導入したテレワーク環境を踏まえて、「リモートPCアレイ」を基盤とした端末のシンクライアント化をさらに進めていく予定です。
「マイナンバー系端末のシンクライアント化は、これから達成したいテーマの1つです。そのためにも、テレワークの必要性をご理解いただくことや、テレワーク導入を契機として新たな業務環境に挑戦していく組織の風土作りが進んでいくことも必要となります。またテレワークが進んでいくと勤務形態も変わっていきますので、人事課をはじめとした関連部署とも相談しながら進めていきたいと思います。」(矢部氏)
お客様プロフィール
- 名称
- 多摩市役所
- 所在地
- 東京都多摩市関戸6丁目12-1
- 概要
- 多摩市は、東京都心から約30~35km圏、多摩地域南部に位置しています。多摩川と多摩丘陵に囲まれた起伏に富んだ地形を持ち、国内最大規模のニュータウンである多摩ニュータウンの中核都市として発展してきました。市内には、私鉄の小田急線と京王線、第三セクターの多摩都市モノレールが走るなど、交通が整備されています。また、多摩センター駅南側の地域は豊かな自然とともに、多摩ニュータウンの中心地として大型商業施設やレジャー施設なども多数あり、幅広い年代の人々が暮らしています。
- 概要
- 東京都多摩市
企画政策部 情報政策課
基盤係 主任
矢部 隆一 氏
東京都多摩市
企画政策部 情報政策課
基盤係
森 奈緒子 氏
株式会社アクシオ
営業本部 第1営業部2グループ
五十嵐 淳 氏
株式会社アクシオ
技術本部 ICT技術部2グループ
石川 晃臣 氏
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