RPAについて

国内で加速するDXの波
“RPA全社展開推進”の動き

「WinActorラウンジ2019」に参加しました。

導入企業が4,000社を超えた国内シェアNo.1のRPA製品「WinActor」のユーザイベント、「WinActorラウンジ2019」がANAインターコンチネンタルホテル(港区)で9月13日(金)に開催されました。WinActorラウンジの開催は2018年に続いて今回で2回目。

販売パートナーであるアクシオも出展し、サブルーム講演とブース展示を行いました。
今年のラウンジは「RPA全社展開推進」がテーマ。“2025年の崖”に向けたデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation:DX)のファーストフェーズとして、業務自動化ロボット技術、RPA(Robotic Process Automation)の全社横断展開がキーワードになっていました。 AIやRPAソリューションの活用術や近い未来について(講演ブース)や、RPA導入現場で役立つソリューションの紹介(ブース展示)など、より具体的な活用場面や導入手法にスポットがあたったイベントであったように感じます。今回は講演やブースの中から、一部をお伝えしたいと思います。

目次

1.基調講演レビュー

世界の経営学から見る未来の企業の在り方
早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール 教授 
入山 章栄 氏 

複雑で答えがないことに対して意思決定を求められる時代

「最新の情報が入ってくる現場で実際に戦っている企業の皆様を前に、経済学者である私は何を話せるのか ―――複雑で答えがないことに対して意思決定する必要がある現代においては、考え続ける必要があります。そんな中で、思考の軸になるもの、説明を与えるものが学問であると思っています。」という話からスタートしました。

イノベーションへの渇望 
―イノベーションに関しては世界中が困っている―

RPA、AI、IoT、そしてブロックチェーンや量子コンピュータといったテクノロジーによって世界が動いていく中で、現状維持で良い今のままで良いという企業は存続できなくなると氏は警告。現代において、どのようなマインドセットが必要か、実例を示しつつ時に会場内を歩き回りながら、分かりやすく経済学の話が進んでいきます。
世界的にも数十年前から重要性が認識されており、必要とされているイノベーションについて、「イノベーションの本質は知と知の掛け合わせである」という基本概念のもと、氏が挙げていたイノベーションに対する誤解や問題は以下の内容です。

イノベーションの罠
 (P=Problem)(S=Solution)

P-1.横軸Exploitation(知の深化) と 縦軸Exploration(知の探索)座標におけるベクトルは横に(水平に)倒れがちになる、企業としてのジレンマが存在する。

P-2.数十年続いている業態や企業においては、知と知の組み合わせは既に終わっている可能性が高い。何故ならば、認知科学において(当然のこと・仕方のないことだが)、人は目の前にあること・ものだけをみて組み合わせようとするからだ。

P-3日本企業は、正確な分析に基づく正確な未来予想に頼りすぎる。ヴィジョンがない、あったとしても伝わってない、現場は知らない。すると、腹落ちがないから動かない。


解決策を以下のように示していました。

S-1.イノベーションには縦軸横軸両方が大切。競争力を常にキープするためには、Competency Trap(競争力の罠)に陥らないためにもExploration(知の探索)を行う(ベクトルを立て直す)必要がある。

S-2.離れた所から知を探し、掛け合わせる必要がある。ただし、チャレンジするということは沢山の屍がうまれる可能性も高まる。企業は、失敗を受け止める(受け止められる土壌が)必要がある。

S-3.Acuracy(正確性)<Plausibility(納得性)というマインドチェンジを。また、企業経営者はヴィジョンを示し、共有することによる腹落ち(納得)を目指す必要がある。

両利きの経営

その他に、目的と手段の混同、腹落ちがないための理解(意思)無き改革推進などの例を出し、知の探索の方法(テクニック)を、Ⅰ個人、Ⅱ戦略、Ⅲ組織、Ⅳ人脈というレイヤーに分類し解説されていました。
会社の進む方向や日々の業務改善、それら全てを含めてイノベーションと捉えると、自然と自分ごとになると述べられて。”遠くに行こう、組み合わせよう”という知の探索に対するポジティブな視点が印象的な講演でした。

2.主催者講演レビュー

未来の社会をデザインする RPA ~NTTデータの展望~
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

イノベーションの進む先

テクノロジーの段階と社会のデザインについての講演でした。自動運転での利用が可能なデジタル3D地図サービス“AW3D”、サービスのレコメンド、マーケティングプロセスの変革や支援を行う脳情報推定技術“NeuroAI”、といったソリューションを紹介。 続いて、RPAが有効に働く場面や、仕事の変化として下記を上げていました。

今後より複雑にシステム同士が絡み合い
ブラックボックス化していく運用や保守
→「2025年の壁」への対応。

システム導入の結果増える入力作業への対応
→RPAが人の作業の代替をすることにより
人は創造的な仕事へシフト。

また、現場に腹落ちがない限り、やる時間がないと後回しになるため、RPAの推進にはトップと現場のビジョンの共有の重要性の話に。今後のRPA製品の新機能については、Teams(ビジネスチャットツール)との連携、スマートスピーカーやプロセスマイニングとの連携を予定しているとのこと。AIやロボットの活用で経営判断をサポートしていきますと宣言されていました。

今後の展望

NTTデータが現在どのようなテクノロジーに注力しているか、未来の社会がどのように変わっていくのか、RPAを足掛かりにした3ステップ、STEP1「RPAの全社展開」、STEP2「全社横断のDXを実現」、STEP3「Society5.0の実現」を解説されていました。
イノベーションを段階的に捉え、大きな流れを示されているのが印象的で、人とシステムと仕事の関係が大きく変化していく事を感じさせられました。

3.製品ロードマップレビュー

「DXを支えるWinActorの最新動向」
NTTアドバンステクノロジ株式会社

技術イノベーションをソリューションへ

NTTの技術イノベーションを実用化していくソリューションの紹介講演でした。RPAソフトウェア「WinActor」をサブスクリプション型で利用するサービス“Cast on Call”、未来の働き方を実現するBrain構想を推し進めており、WinActorやAIは全社横断DXを支える核となるテクノロジーであるという話からはじまります。
RPAを導入をする際の理想は、経営と現場で意識の乖離が起きない環境作りであり、経営と現場の見る先を共有し、改革の思いが伝搬していく仕掛けとツールの整備が必要であると述べられていました。
そのために重要なことを下記のようにまとめています。

・ボスが個々に目を配ること。個別の成功に目を向けること → きちんと見ること。
・現場レベルで成功体験をみんなにしてもらい浸透をはやめること。
・社員参加型の経営改革を推進すること。

続いて、WinActorを活用し、ERPクラウド移行を短期間で実現したNTT AT社の実例を紹介。オンプレミスとクラウドのクッションの役割を担うサブシステムとしての活用が有効に働いたと説明していました。

Intelligent Automationとは

展望として、Intelligent Automation の話題へ。今後環境(状況)の変化が激しくなる中、ログを取得し解析するだけでなく、AIを用いて判断や推論の自動化を目指し、規則性(ルール)クラスに関してはRPAを用いて自動化をするというRPAやAIによる社会の未来像を示されていた様に思います。 AI技術の進化によりモデル作製をAIが担うようになり、人はフレームの設定をどのように行うのかといった業務の視点変更が必要な社会になると思いました。

4.パネルディスカッションレビュー

WinActor全社展開推進
アフラック生命保険株式会社
AGC株式会社
みずほ情報総研
三菱商事株式会社

システムと組織とリーダーと“人”の話

WinActor導入企業4社よりRPA導入推進リーダーをパネリストに迎え、直面した課題や取り組みをパネルディスカッション形式で紹介する講演でした。
RPAが活きる状況や場面の情報を集め、組織、業務、職務、人、そして、物理的な制約の中で、それぞれの企業の取り組みや工夫の話に。話題の核は、
 ・自分ごととして受け止めて貰えるようにモチベーションを創造
 ・コミュニティづくりやサポートの整備によってハードルを排除
といった、組織のマネジメント方法であったように感じます。 経営と現場が双方の意思や状況を理解する、浸透する時間を考慮する、環境の変化に向き合っていく必要があるといった、RPA導入の際の「許容」に似た感覚を覚えるキーワードが多く出てきたのが印象的でした。

5.事例紹介レビュー

WinDirector本格導入のケーススタディ
株式会社ニトリホールディングス

徹底したコスト構造コントロール

商品企画から製造・物流・販売までを一貫してプロデュースするビジネスモデルおけるWinActorの本格導入の講演でした。会社のコンセプト(講演中はロマンと表現)・ヴィジョンを実現するためにコスト構造コントロール(中間コスト削減)が必要であり、自前にてシステムを構築する主義をとっているとのことでした。

“RPAからデジタルトランスフォーメーションへ”

RPA全社展開推進における情報浸透サイクルが下記3構造により設計されているのが興味深い点でした。
 a 「情シス部門はシナリオを作らず管理のみ」方針を固め、現場主義という土壌のもと現場が作って現場が管理
 b ツール(WinDirector)による徹底した管理と統制
 c 管理、統制に関わる工数を最小限にとどめ、現場主導の展開がより加速するよう、社長が現場に発信
以前から新システム導入の際にはアンバサダー制度によるプロジェクトマネジメントが行われており、本件でも、アンバサダー支援会議やRPAサポートサイト、社内勉強会など、様々な支援策を講じているとのこと。
最後に、「現場には”RPAで完璧を目指すな””使えるところから使おう”とメッセージを送っている」とのことで、RPA導入推進の心構えとして、とても参考になると思いました。

6.アクシオ講演と展示ブースレビュー

「RPAのライセンスコスト半減を事例解説!」
株式会社アクシオ

サブルーム講演 テーマ「Intelligent Automation」

サブルーム2では、「Intelligent Automation」というテーマのもと、講演が行われました。アクシオは「RPAのライセンスコスト半減を事例解説!」と題し、ロボット研究開発部よりOnRPA®、OnRPA2、リモートPCアレイと、AI-OCR についての講演を実施しました。

朝9時30分~のアクシオの講演では、用意された150席では足りず立ち見のお客様がでるほどの満員御礼でした。

ブースのデモ展示

朝9時30分の開場から、アクシオの展示ブースはお客様にたくさん訪問いただきました。ライセンスコストの削減というお客様の要望から生まれたOnRPA®、シナリオ実行のタスク管理を容易にするOnRPA2、また、WinActorを導入してわかる”困った”(複数拠点でロボPCを使いたい、ライセンスコストを低減したい等)に対するソリューションとして、「リモートPCアレイonRPA」の実機を展示し説明させていただきました。
中でも最も関心の高さを感じたのが、RPA×AI-OCRです。AIにより読取精度が大幅に向上した最新OCRを多くの方に体験していただくことができました。

最後に

ライセンスコストの削減やタスクスケジュール管理、AI-OCRなど、導入によりすぐに効果が見えるイメージしやすいソリューションのご提案であったためか、朝の開場~閉場時間までの間アクシオのブースは常にお客様で溢れ、会場でも1、2位を争う盛況ぶりでした。

多くの方にお越しいただき、
誠にありがとうございました。

コラム内のこの場を借りまして、あらためまして御礼申し上げます。


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