仮想デスクトップ/シンクライアント

業務変革を目指して、院内の全端末をVDI化

導入サービス : Dell Wyse シンクライアント

医療法人 明仁会 かないわ病院様

石川県金沢市の医療法人 明仁会 かないわ病院では、医療サービスの向上、業務効率の改善とセキュリティ対策を目的に、電子カルテ、PACS(医療用画像管理システム)、オーダリング、医事システムなどの基幹システムを導入した。
注目すべきは、それら基幹システムを全てVDI(仮想デスクトップ)環境に構築して、院内の全端末をゼロクライアント化したことである。Dell Wyse P25ゼロクライアントとVMware Horizon View で構成されたVDI 環境に描画性能に優れるPCoIPを利用して、デュアルモニターに表示されたPACS画像の参照*も行う。

*PACS画像の読影には、薬事法にて認可された専用端末が利用されています。

かないわ病院にとって、今年は大きな変革の年になる

これまでも電子カルテなどの利用に関して院内にて議論されてきたが、看護スタッフの高齢化によるIT アレルギーなどを考慮して導入には至らなかった経緯に対して、同病院の事務長である大西氏は、 「このようなネガティブなことばかりを心配するのではなく、先ずは看護師やスタッフの置かれた環境を理解して、その職場環境の改善のためにもITシステムの導入による業務変革が必要であると判断しました。
また、これまで当院は、精神科の単科病院として機能してきましたが、高齢化の時代という背景や地域に密着した医療サービスの提供を目指してグループホームの開設も予定しており、今年は、当院にとって大きな変革の年になります。」と説明される。さらに大西氏は、ITシステムの導入に対する効果についても、「当院は精神科ということもあり、取扱う診療情報は極めて秘匿性の高い個人情報です。紙ベースでの運用では、情報漏えいに繋がる危険性も多くセキュリティ対策を施すにも難しいと判断しました。また、ITシステムにより看護師やスタッフの情報共有による教育や業務効率の改善にも期待できます。これにより本来の業務である患者との接触時間を長くできるなど医療サービスの向上にも繋がるものと考えます。」と期待は大きい。

XP端末の移行がきっかけで、VDIを検討

「XP 端末からの移行がきっかけでVDI の検討を開始しましたが、秘匿性の高い個人情報を取り扱う病院では、これまでのようにPCを利用している限り、セキュリティ対策や教育に時間をかけてもクライアントにデータが残る危険性があると考えました。また、病院という職場では、常に患者の生命を第一として考え、看護師やスタッフが現場で判断しなければならないことも多いのです。そのような環境下において、セキュリティ対策として端末の操作制限などをユーザに強いることはできません。そこで、管理者が強制的に制限して、ユーザは意識することなく端末を操作できるVDI 環境が最適と判断して迷わず導入の検討を開始しました。」と同院のIT 管理課主任である河原氏は、VDI の必要性を説明する。

3つの要求に対してVDIを提案

「日頃より医療系システムのベンダーやメーカーに対して閉塞感を感じていました。」 と河原氏。仮想デスクトップ対応を相談したベンダーからは、動作検証が取れていないとの回答が大半を占めた。そのような中で、今回のプロジェクトを担当した富士ゼロックス北陸から、「VMware Horizon View」と「Dell Wyse P25」ゼロクライアントの構成で提案があった。提案を取りまとめた富士ゼロックス北陸の岡田氏は、「高い可用性と十分なセキュリティの確保、BCP対応の3つの要求仕様に対して、仮想化インフラストラクチャとして実績のあった「VMware HorizonView」を採用して、PCoIP に対応した端末には、国内でも多くの実績のある「Dell Wyse P25」 ゼロクライアントを選択しました。また、可用性を1 つのシステムだけに頼らないという要求もありましたので、VMwareHA やVMware DRS機能だけではなく、ftServer©上に各システムとVDI を構築してその可用性を確保しました。」と提案内容を紹介する。この積極的な提案を受けて、「相互に知恵を出し合うことができるベンダーだと感じた。」と河原氏は振り返る。

医療法人 明仁会 かないわ病院様 システム構成図

ゼロクライアントからさまざまな情報を参照

VDI の検討では、特にPACS画像の参照について危惧されたが、VMware Horizon View のチューニングにより、PACS画像も問題なく参照することができた。しかも、患者にPACSデータを見てもらいながら診察を行う関係でデュアルモニターでの表示が必要となるが、これも何ら問題なくクリアできた。これは、ロスレス転送が可能なPCoIPという画像転送に優れたプロトコルの利用とPCoIP専用チップを搭載した「Dell Wyse P25」ゼロクライアントによるものである。「導入には、懸念されたソフトウェアの動作確認を行いましたが、特にPACSに関しては、メーカーから提供された検証プログラムにおいて合格判定を確認した上で、実際に医師に参照可能であるか判断してもらいました。」と富士ゼロックス北陸の川上氏は紹介する。このような十分な評価の結果、院内のさまざまな場所から必要な情報を参照することが可能となった。導入後にゼロクライアントを利用した医師や看護師、スタッフから、特に意見や要求は出ていないという。ユーザからすると従来のPCからVDI化された感覚は全く無いようだ。

「Dell Wyse P25」の容易な管理

端末の管理において、「病院では、診療報酬に直接関係のない情報システム管理者を多く配置することができないので、点在する端末管理には苦労します。手元から端末管理ができる「Dell Wyse P25」ゼロクライアントには、大きなメリットを感じています。」と河原氏。ユーザだけなく管理者にとっても業務効率の改善が見込まれる。また、「病院という患者の出入りが多い環境で利用される端末なので、機能やパフォーマンス、価格は勿論ですが端末のデザイン性も考慮しました。単に箱型ではなく「Dell Wyse P25」は非常にコンパクトで洗練されたデザインであるため、スマートな職場環境が構築できると自信を持って提案しました。」と端末選定について川上氏は説明する。

クラウドや地域医療連携にも期待

「PCと異なりゼロクライアントは、オペレーションにより壊れることはないので、ユーザには思い切り使って欲しいです。また、クライアントも含めてシステムを全て仮想化したので、今後テーマとなるクラウド化や地域医療連携にも柔軟に対応できると考えます。」と河原氏。導入したVDIを初めとする仮想基盤上のシステムは、さらなる業務変革の礎となりそうだ。

お客様プロフィール

会社名
医療法人 明仁会 かないわ病院
住所
石川県金沢市普正寺町9-6
概要
かないわ病院は、金沢市内を流れる犀川が日本海に注ぐ河口に位置した精神科医療を専門とした精神病床189床を有する病院である。その前身となる「金石神経サナトリウム」は、昭和31年4月に金沢北西部における地域精神医療の必要性に応えるべく、精神科病院として診療業務を開始。平成14年9月に入院環境の改善を目的とした改築を行うとともに、名称も「かないわ病院」と改称し、保健医療、地域サービスの向上に努めている。
URL:http://www4.ocn.ne.jp/~kanaiwa/
御担当者様
医療法人 明仁会 かないわ病院
事務長
大西 義則 氏
医療法人 明仁会 かないわ病院
IT管理課 主任
医療情報技師
河原 直人 氏

協力会社プロフィール

会社名
富士ゼロックス北陸株式会社
住所
石川県金沢市中橋町11-18
URL
http://www.fujixerox.co.jp/hrx/
御担当者様
ソリューションサービス本部
システムエンジニアリング部
SE課 課長
川上 正春 氏
営業統括部
メディカルソリューション営業課
岡田 東久 氏
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