第3回 SaaS時代のIDライフサイクル管理

IDガバナンスを強化するIGAの考え方 統制・配信・監査の実践ポイント

技術者ブログ

本連載(全6回)では、SaaS時代におけるIDライフサイクル管理の課題と解決策を体系的に解説します。
IDガバナンスを議論する際によく登場するのが「IGA(Identity Governance & Administration)」という概念です。
一見難しく聞こえますが、その本質は「統制」「配信」「監査」という3つの視点に整理できます。
本記事では、IGAの考え方を踏まえながら、アクシオが提唱する現実的な統制のあり方を解説します。

Q. IGAとは何ですか?

IGA(Identity Governance & Administration)とは、IDの付与・剥奪といった運用を統制し、監査可能な形で管理する考え方を指します。
ガートナーが提唱したグローバルなID管理フレームワークであり、企業が求める「統制」「効率」「透明性」を同時に実現する仕組みです。

視点1:統制(Control)

「統制」とは、誰がどのシステムにアクセスできるのかを定義し、不正な権限付与を防ぐ仕組みです。アクシオでは、人事発令情報を基点に統制ルールを構築することで、現場任せの属人的な権限設定を防ぎます。

視点2:配信(Provisioning)

「配信」とは、定義したルールに基づき、実際に権限を付与・剥奪するプロセスです。
Keyspiderでは、人事イベント(入社・異動・退職)をトリガーに権限変更を自動で反映。手動ミスを防ぎ、統制とスピードを両立します。

視点3:監査(Audit)

「監査」とは、権限付与や変更の履歴を証跡として保持し、定期的に検証するプロセスです。Keyspiderはすべての操作履歴を自動で記録し、監査部門が求める「誰が・いつ・どの権限を付与したか」をワンクリックで確認できます。


こうした「統制・配信・監査」を統合する取り組みは、すでに市場全体の成長を後押ししています。
日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の『国内情報セキュリティ市場 2024年度調査報告書』(2025年6月)によると、アイデンティティ・アクセス管理(IAM)市場は2023年度に前年比20%増の1,502億円に達し、2025年度には2,026億円規模へ拡大すると予測されています。同協会は「ゼロトラストモデル実現にIAMは不可欠」と指摘しており、国内企業でもIGA基盤の整備が本格化していることがうかがえます。

出典:日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)「2024年度 国内情報セキュリティ市場調査報告書」

押さえておきたいポイント

・IGAは「統制」「配信」「監査」の3つの視点で整理できる
・人事発令ベースの自動化により、統制と効率化を両立できる
・監査証跡を自動整備し、経営層が求める透明性を確保する

次回予告

次回は、入社・異動・退職といった人事イベントに対応する「IDライフサイクルの自動化設計術」を解説します。
実際の設計例を交えながら、統制と運用効率を両立するポイントを紹介します。

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