仮想デスクトップ/シンクライアント

中国杭州工場に仮想デスクトップ環境を導入
日中間で事業展開する企業のITインフラモデルとは…

テクノクオーツ株式会社様

テクノクオーツは、中国杭州工場に仮想デスクトップ環境を導入した。これにより、端末管理が大幅に容易となった他、ウイルス対策やデータ保全、利用ソフトウェアの管理を強制的に日本側から対応することが可能となった。
国内とは異なるIT事情を考慮したITインフラモデルであり、日中間で事業展開する企業のモデルケースである。

無線LANからスタートしたインフラ構築

日本で稼動しているハンディターミナルを利用した生産工程での作業時間集計と製品棚卸システムを2011年6月に杭州工場で稼動開始した。本システムの導入に関しては、中国でも日本と同等のサポート対応が可能なベンダーの選定が重要と考え、日本で保守を依頼しているJBCC 株式会社のグループ会社現地法人である佳報(上海)信息技術有限公司(JBCN)とITインフラ構築を得意とするアクシオの現地法人の愛科秀(上海)信息技術有限公司(AXIO)の提案を採用することとした。工場内の約50台のハンディターミナルから無線LAN 経由での利用としたが、運用を開始してみると通信障害がたびたび発生した。設立当時から見直しされていなかった有線LANに起因する部分もあったが、一番大きな原因はPC のウイルス感染による通信障害であった。
システムを安定して利用する為、まずは老朽化した有線LAN へも整備見直しの計画を立てて実行に踏み切った。2011年の秋には有線LANも新たに刷新された。

国内とは異なるIT事情の差

ウィルスの課題に直面していた当時の苦労話を丹野氏はこう話す。「業務システム運用のために日本から杭州工場へ訪問したのですが、ウィルス感染の対応で本来の業務がまったくできずに数日間費やすこともありました。」
悩みはウィルスだけでなく古くなった業務PCの管理の課題にもあった。PC のほとんどがWindows2000 の古いOS で稼動しており、PC の故障も経年劣化で多発していた。中国では日本国内と修理事情も異なり、メーカーの修理対応などが取れないケースも多い。したがって修理には自らパーツを購入してきて交換を実施しなければならない。PCに対しての十分なケアが取れない事情の中で、老朽化したPCへのウィルス対策、OSパッチなど十分な対策・措置が実施し難いことは容易に想定できる。日本と中国のIT事情の違いである。
さらに中国ならではの課題として停電がある。杭州工場では現地の送電事情により計画外の急な停電が発生することがある。サーバルーム等にはもちろんUPS(無停電電源装置)による停電措置が施されているが、端末のPC 側には対処がない。老朽化したPCでバッテリー機能が不十分な状態で停電時に作業中データの消失や破損が生じてしまうケースもある。
また、ITのビジネス活用の仕方でも特徴がある。たとえば日本では社外の人との連絡はメールが中心であるが、中国ではメッセンジャーソフトもビジネスシーンで利用されるケースが多い。
利用ソフトの制限も日本とは違ってくる。利用者任せにしたり、日本の利用ルールを決めて、そのまま指示するだけでは運用や利用に支障が出てしまうのである。日本とは異なるIT 事情がある中で、これらさまざまな課題に対応するには適切に管理者側からコントロールできる仕組みが必要となってくる。

仮想デスクトップ環境の構築

昭和電線グループのIT 子会社であるアクシオは、中国において既に同様の問題点に直面し、対策を図った経験からPC老朽化、ウィルス対策、遠隔地からの保守/運用を解決する手段として、仮想デスクトップ環境の構築を提案。2012年5月より構築計画がスタートした。構成概要を図に示す。杭州工場のサーバルームにVMwareによる仮想デスクトップ環境を構築し、ユーザが接続する仮想マシンにはWindows7を採用。検証した結果、独自開発のアプリケーションも仮想デスクトップ環境であれば仮想マシン上でアプリを動作できた。従来の利用システムから仮想デスクトップ環境に移行する上で、一部修正が必要なものもあったが、大半はそのままで移行ができた。また、日本から中国工場のサポートを安定して行う為、IP-VPN(2Mbps 帯域保証)回線の導入を行った。日本からのサポートもPCoIP 接続であればこの帯域幅でストレスなく行えている。仮想デスクトップ環境ならではのメリットである。シンクライアント端末は工場内に約50 台設置した。利用のシンクライアント選定では起動の早さ、運用のし易さでWyse テクノロジー社のWyse C10LEを採用。導入においては構築から運用まで現地でサポートいただける体制を重視した。

杭州秦谷諾石英有限公司 仮想デスクトップ環境

お客様の声テクノクオーツ株式会社

仮想デスクトップ環境にしたことで従来のPC 管理の課題やウィルス対策を一挙に解決できたことは言うまでもない。利用者が勝手にアプリケーションや設定の変更ができないデスクトップ環境を準備することで、メンテナンスを含め、統制の効いたシステム運用が実現できた。こうしてシステムを安全に利用できるようになったことで日本と中国・杭州工場間での共有情報データの利用も本格化した。IP-VPN で日中間を接続したことで、リアルタイムの情報共有や現地の管理者ではなかなか対応できない細かな設定変更なども日本からリモート接続でメンテナンスが可能となり、運用面でも迅速に対応できるようになった。
構築後にシステム課の石垣氏に仮想デスクトップ環境の効果についてお聞きした。「効果として良かったと感じているのはアプリケーションの整理ができたことです。
データに関しても移行の際に個々のPC やサーバに点在化しているものを収集整理し、まとめなおしたことでデータ集約化も実施できました。」運用者の目からみた2 次効果として業務整理ができたというメリットも着目すべき点である。
中国杭州工場総経理である加藤氏にもお話を伺った。「10 年前に工場設立時のまま今日まで使用して来たOA 関係も課題点が多く有りました。セキュリティや今後の事を考え、段階をへて更改となるのでは意味がないので、日本のシステム担当者に協力を仰ぎ全面更改をしました。今までの課題点がクリアーでき、日本との情報共有化が実現できたことは本当に嬉しいことです。」

アクシオへの期待

「今回の整備計画では大変お世話になりました。場所が場所だけに国内で活動するシステム構築の企業での対応では難しく、アクシオのように日本と中国の双方からサポートしていただける企業は非常に安心感がありました。自社も含めて仮想化環境ならびにシンクライアントの豊富な構築経験もつアクシオとは今後も良きパートナーとして末永くお付き合いいただきたいと思います。」とテクノクオーツの皆様よりお答えいただきました。

お客様プロフィール

商号
テクノクオーツ株式会社
本社
東京都新宿区西新宿5-1-14
設立
昭和51年10月2日
資本金
829,350千円
事業所
工場:蔵王工場、蔵王南工場、山形工場
営業本部:東京
営業所:東北、北陸、関西、九州、米国・サンタクララ(GL TECHNO America,Inc.)
杭州泰谷諾石英
有限公司
浙江省杭州市杭州経済技術開発区
浙江杭州出口加工区 M14-17-1 地塊
概要
1976 年に設立されたテクノクオーツ株式会社は半導体製造装置用石英製品を主力製品とするメーカーであり、これまで日本の半導体産業と極めて密接な関係を築いてきた企業である。さらに近年の半導体製造のグローバル化に伴い、2002 年に中国・杭州に新工場を建設し、米国・サンタクララに現地法人を設立するなど、世界を視野に入れた事業計画を着実に進めている。
海外拠点でのITインフラ整備では運用も含めたさまざまな課題があり、今回の整備計画責任者である丹野氏は「計画では中国拠点のITの運用課題を解決する上でもっとも効果的な手法を取りたかった」と話す。
御担当者様
杭州泰谷諾石英有限公司
総経理
加藤 友明 氏
テクノクオーツ株式会社
管理本部 総務部
システム課 係長
丹野 陽一 氏
テクノクオーツ株式会社
管理本部 総務部
システム課
石垣 朱美 氏
テクノクオーツ株式会社
管理本部 総務部
システム課
高橋 祐馬 氏
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