TRONシンポジウムについて
10年先を見据えた『ネクスト・インフラ』
「2022 TRON Symposium –TRONSHOW-」
イベントレポート
メーカやサービス提供者間の垣根を越えて、利便性の高いサービスを生み出す「オープン IoT」を実現するための要素技術や応用例、さまざまなプロジェクトとの連携事例を多数展示される大規模イベント「2022 TRON Symposium –TRONSHOW-」が六本木ミッドタウンで12月7日(水)~12月9日(金)に開催されました。今回も昨年と同様、コロナ感染対策としてオンラインでも同時開催されました。
『TRON Symposium』とは
TRONプロジェクトは、1984年から「オープンアーキテクチャ」の哲学に基づき開発された総合プロジェクトです。TRONプロジェクトでは、組込みシステムだけでなく、政府や自治体、公共交通機関などが保有するデータをオープンにして利活用する「オープンデータ」、さらにメーカやサービス提供者間の垣根を越えて利便性の高いサービスを生み出す「オープンIoT」を実現するための「オープンAPI」など、様々な領域に「オープン」の範囲を広げ続けています。この「オープンAPI」を実現するための要素技術や応用例、様々なプロジェクトとの連携事例を多数ご紹介します。今年も、IEEE Consumer Technology Societyの技術協賛をうけ、組込みシステムや、IoT、AI、オープンデータなどの最先端の研究発表を行います。 そして次の10年を見据えてAPN(All Photonics Network)の応用普及を目指し、IOWN(アイオン :Innovation Optical and Wireless Network)に関する活動などを多数紹介いたします。
https://www.tronshow.org/
今回のテーマ『ネクスト・インフラ』においてのIOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)の活動や企業としての取り組み(セッション)や、スマートシティ/スーパーシティ実現におけるソリューションや仮想世界のご紹介(ブース展示)など、日本がこれからIoT技術で世界進出していくために必要なことを改めて学ぶ機会になりました。今回は講演やブースの中から、その一部をお伝えしたいと思います。
目次
1.展示ブースの様子
アクシオは今回、インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社様の渋谷新拠点のスマートオフィス化に協力させていただきました、『IoTインフラ構築工事の構築事例』と、店舗プランニング様が取り扱っている顔認識端末『suprema Face Station2』を展示いたしました!
Face Station2実機を設置して実際の顔認識精度を体験していただいたり、パネルや事例パンフレットについてお客様にご紹介させていただきました。
https://home.tronshow.kokosil.net/ja/exhibitors/axio/
2.オープニングセッション
先ずはじめに、プロジェクトリーダーである坂村健氏が今回のシンポジウムのテーマである『ネクスト・インフラ』についてご説明されていました。ネクスト・インフラ(Next Generation Infrastructure)とは次世代のインフラ技術という意味であり、プラットフォームを再起動した、その次のステップの情報通信技術のインフラとは何か、ということがテーマであると仰っていました。
また、感染防止対策の為TRON理事企業や政府関係の方々からのビデオメッセージが流れました。
3.セッションの様子
基調講演『ネクスト・インフラ』
坂村健氏(INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長)
坂村健氏は今回のテーマとなる『ネクスト・インフラ』にある『インフラ』とは何かについて、2022年におけるTRONプロジェクトの成果・現在進行しているプロジェクトについてご説明されていました。 現在TRONプロジェクトが注力しているのは『Open Smart UR プロジェクト』というINIADとUR都市機構が共同開発し、住環境に『見守りカメラ』や『環境センサ』、そして様々な企業から持ち込まれたIoT機器を構築中のプラットフォームに接続して連動させる次世代団地を建設するプロジェクトについてお話されていました。 近い将来、健康管理や周辺環境なども携帯を見なくても、自宅にいるだけで全て確認出来るようになるのかもしれません。
IOWN特別セッション:「IOWN Global ForumにおけるIOWN実現に向けたグローバルなパートナーシップ」
-コーディネーター-
坂村 健氏(INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長
-登壇者-
荒金 陽助氏(日本電信電話株式会社 研究企画部門 IOWN推進室 担当部長)
服部 雅之氏(ソニーグループ株式会社 R&Dセンター 特任技監)
大野 誠氏(インテル株式会社 執行役員 新規事業推進本部 本部長 兼 経営戦略室 室長)
青木 泰彦氏(富士通株式会社 未来社会&テクノロジー本部 IOWN/6Gプロジェクト シニアディレクター)
伊藤 幸夫氏(日本電気株式会社 コーポレート・エグゼクティブ)
IOWN特別セッションでは、IOWN (アイオン :Innovation Optical and Wireless Network)について、そしてIOWN Global Forumではどのような活動が行われているのか等について詳しくご説明頂きました。
IOWN Global Forumは『光/無線通信、光電融合技術を活かして、今のインフラの限界を克服し、持続可能な社会を創造する』ことを目的とした2020年1月発足の非営利団体であり、各企業が各々IOWNの構想に基づいた、インフラの『デジタルツイン化』や各交通主体の消費エネルギーを最小化した経路を提示する『カーボンニュートラル』への貢献など、様々な取り組みの内容をご説明いただきました。
よりスマートな情報社会を実現するために行われているプロジェクトについて詳しく知ることが出来ました。
DX特別セッション「日本のDX」
登壇者
受川 裕氏(日本電気株式会社 執行役員)
田丸 健三郎氏(日本マイクロソフト株式会社 技術統括室 業務執行役員)
DX特別セッションでは、世界をリードするICT企業や地方自治体がDXを実現するため、意識改革からはじめ、どのように取り組んできたか、またその具体的ソリューションなどについてご説明頂きました。
また、後半のパネルディスカッションではDXが可能にすること、果たす役割についても議論されておりました。 DXの目的は『最大最適』であり、共通に連携出来る基盤がある『オープンプラットフォーム志向』で考えるべきであるが、その点日本は『局所最適』な点が多く、他国に比べて出遅れてしまっているとお話されていました。 登壇者である受川様(日本電気株式会社 執行役員)からは現在高松市で実施されているの『スマートシティ』推進組織の事例のご紹介や『スマートシティ』の社会実装を加速させる『全国版エコシステム』の創出についてのご説明や、田丸様(日本マイクロソフト株式会社 技術統括室 業務執行役員)からは日本マイクロソフト株式会社のミッションや意識、製品の変革、社内データ資産の一元化などといった社内DX化の事例についてご説明いただきました。
日本ではAIの活用を開始している企業は全体の3分の1しかなく、まだまだ敷居が高いと感じている企業も多いようです。しかし今後効率的にビジネス戦略をたてるにはAIの力が必要となってくるのかもしれないと感じました。
最後に
3日間の「2022 TRON Symposium –TRONSHOW-」を無事終えることが出来ました。
昨年に比べ、感染症の影響が多少やわらぎ、弊社ブースで展示しておりました顔認識端末に多くの来場者の方々に興味を示していただくことも多く、実りのあるイベントになりました。
来年も是非参加したいと思います!
多くの方にお越しいただき、
誠にありがとうございました。
コラム内のこの場を借りまして、あらためまして御礼申し上げます。